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ボトルネック 

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いつか感想を書こうと心に誓っていた一冊。ここ数ヶ月で読んだ欝エンド・ミステリーの中では、断トツに面白かったです。読み終えた瞬間の後味の悪さ、完膚なきまでの救いのなさも含め、なぜだろう、爽快でした。


……いや、本当、どうしてだろう……。

例えば道尾秀介さんの『向日葵の咲かない夏』も、言ってみれば青春ミステリの欝エンド。ジャンルとしてのカテゴライズは変わらない。なのに、『ボトルネック』のほうは爽快感がある。なぜ。たぶん、一つの要因としては、その完成度の高さが挙げられる。「現実とフィクションの違いは何か。フィクションは理にかなっていなければならない」。その意味で、本作はまごうことなきフィクションだ。

構成は元より、伏線を回収するプロセス、台詞回しや情景描写、そういった一個一個のパーツが洗練されており、さらには組み合わさる手法に至るまで一切の無駄がない。つまり巧い。強いて欠点を挙げるとすれば、その「巧い」という一点に対する違和感のみ。主人公のグロテスクな深層心理が抉り出されていくシーンですら、その筆致の丁寧さ、言わば「読者への思いやり」に触れ、その瞬間、物語から現実に引き戻される。でもそれって、要は書き手がプロだっていう何よりもの裏づけで、どっちかっていうと欠点というより長所だとも思う。

「できすぎている」。それがこの本に対し、真っ先に思った私の感想で、「けれど、形而上で練られた『ストーリー』に留まらない。キャラクターはちゃんと『生きている』」。これが、現時点で持っている総評であり、同時に疑問。なんで、こんなに強くて爽快な「欝エンド」が書けるんだろう……。うーん不思議だ。

すみません脱線しました。いや、どうしても昨日読んだ『向日葵~』と対比させてしまうんですよね。この二者に限らず、けっこう前から感じていたことなので。例えば恩田陸さんとかがそう。かの氏は「プロットを練らない」ことで有名な作家だから、案の定、エンディングが投げっぱになったりする。でも、それがいい。必ずしも「まとまった」お話が面白いかというと、そんなこともない。

『向日葵~』に関しては、それとはちょっと違うけれど。一応はまとめようとしているし。でも、「無理やり」まとめようとした結果、粗が残り、その「粗がフィクションらしからぬリアルさを生んでいる」という点においては変わらない。

むしろ、わざと粗を残しているのだとしたら。

だとすれば、ちょっと怖い、というか恐い。だってそのせいで、まんまと私は、読了後二日経った今ですら、真綿で首を絞められているような気持ち悪さ、粘りつくようなグロテスクな「何か」の侵食を感じているのだ。ボトルネックはそれはなかった。あったのは「やられた」という爽快感と、しかし欝エンドなのでズーンと沈んで、けれど浮上する気になれる前向きな「何か」。

はぁ……すごいなぁ。あたりまえなのだけれど、作家ごとにカラーって出るものですね。私も早く、自分の色を持てるよう精進しよう……(欝エンド)

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