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水の時計 

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読み終えてしばらく、嗚咽が止まらなかった。いつも、どんなお話を読んでも、泣いても、解説やあとがきのページに入ればスッと収まるのに、今回ばかりは、本を閉じてもダメだった。止まらなかった。慟哭、という言葉の意味を久しぶりに思い出した。今も、書きながら手が震える。


『水の時計』
「医学的には脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた葉月が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった――。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞受賞作」

賛否両論あるようだけれど、私は最後の一行の、潔い終わり方がとても好きだった。あの瞬間、「力を振り絞ることができた」(ネタバレ防止のため、表現をぼかしています)というだけでも、十二分に、少年の未来が見えたような気がした。

というか、個人的に救われた。ああ、こんな風に、人は蘇っていくことができるんだ、と。たぶん、丁寧な後日談を描いたりせず、一瞬の光に全てを集約したからこそ、この物語は美しいのだと思う。

幸福の王子、臓器移植、等、モチーフだけでも考えさせられる部分は多い。でも、この本はそれだけじゃない。「自分では想像もつかないようなところで、誰かが思ってくれている」。誰かと繋がっている。痛いほどの孤独と、それを覆す確かな絆。それを失って尚、這い上がろうとする人間の力。文章こそ透明で儚いけれど、とんでもない強さを突きつけてくる。

そしてその強さが、他のどの一行よりも宿っているのが、最後の一行だと、私は感じた。本当に素晴らしいエンディングだと思います。たぶん、この先何十年生きていくとしても、ずっと傍に置いておく一冊になりそうです。

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